移乗動作・介助方法の基本

移乗動作の介助について原理原則から基本的な理論を中心にリハビリ職の視点からお伝えします。

下記の内容は5月18日の社内勉強会をもとに作成しています。

今回のテーマは『トランスファー(移乗)』で当ステーションの理学療法士が講師として話をしました。

動作介助の意義と原則

トランスファーが出来る・出来ないでは生活活動空間の範囲が大きく異なる為、QOLを向上させる為の重要な課題です。

トランスファー介助の問題点として、介助者の視点で行うと残存能力を生かすことが出来ず、対象者の能力の低下を招き、更に介助量増加を招くことです。

適切な介助方法は

①介助者が楽に介助できる
②対象者も楽である
③残存能力を維持することが出来る

疾患や障害の程度や種類、残存能力を適切に評価して、対象者の動作能力に適した介助方法を選択することが重要です。

快適な介助方法

①残存能力の利用
・正常な運動パターンの再現(重心、軌跡)
・健側を利用
・対象者への説明・協力
②最小限の介助
・残存能力の把握
・合理的な介助方法
・適切な器具などの選択
③安全性
・リスクの把握
・急な外力を加えない
・適切な介助方法の選択

トランスファーの分類

トランスファーは
①立ち上がる
②回転する
③座る
の3相に分けられる

トランスファーの基礎

Hold&Cover法のように対象者に密着して行う方法は支持基底面が狭く不安定になったり、足元が見えづらくなる為事故が起こる危険性も高まる。また、残存能力を生かすことが出来ず、過介助になりやすい。

基本的には動作能力が高まるにつれて介助者との距離は離れた技法へと代わっていく。

ポイント

①立ち上がる:完全に立ち上がらず、体幹前傾位のままで回転するほうが介助は容易。

②回転する:回転が終了するまで回転軸がずれないようにすることが重要。

③座る:膝窩が座面に触れる程度の近い距離が転落の危険が少ない。

質問タイム

講義の最後の質問タイムでは、看護師や言語聴覚士から質問がありました。

・看護師はHold&Cover法のような介助をすることが多く過介助になりがちだが、過介助にならないためのポイントはあるか?
⇒残存機能をうまく使うこと(健側へ体重を乗せるなど)が重要

・立たせる介助をしているリハビリスタッフもいるが、立たせるのと立たせないのとはどちらがよいか?
⇒ケースによるが、教科書的には立たせないほうがよい。
その人の残存機能にもよる

・四肢麻痺のようなケースではどのような介助をするか?
⇒腋窩に介助者の首を入れて持ち上げるような介助方法などを使う

まとめ

今回は講義形式でしたが、次回は実技を中心にやって欲しいとの要望もありました。

当ステーションでは看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士合同で勉強会を行っており、多職種の視点から自立支援をしていけるような教育体制を取っています。今回は理学療法士の得意とするところを他職種向けの内容で行ってもらいました。