浮腫のケア

平成30年9月7日に社内勉強会を行いました。

本日のテーマは『浮腫のケア』です。

浮腫とは

皮下組織に余分な水が溜まることです

人間の体は60%が水分でできています。高齢者になると50~60%が水分と少し水分は少なくなります。

人の体からは1日2.5Lの水分が失われています。これを補う為には「体重×30ml」の水分を摂取する事が必要と言われています。

つまり、体重50kgの人は1.5Lの水分が必要となります。

余分な水分があると浮腫として皮下組織に溜まります。

浮腫の分類

浮腫には全身性浮腫と局所性浮腫があります

全身性浮腫

心性浮腫(うっ血性心不全 など)・・・下肢に溜まりやすい
腎性浮腫(ネフローゼ症候群 など)・・・顔面などに溜まりやすい
肝性浮腫(肝硬変 など)・・・腹部に溜まりやすい
低栄養  ・・・全身に溜まりやすい

局所性浮腫

静脈性浮腫(静脈瘤、血栓症 など)
リンパ浮腫(リンパ節郭清 など)・・・乳がん・子宮がんの術後など。以前は治療が自費だったが、現在は保険が使えるなど近年見直しが行われてきた
炎症性浮腫(各種炎症 など)
廃用性浮腫(長期安静、活動性低下 など)

廃用症候群の浮腫

局所的は理由:筋肉を使わないと、ポンプ作用が低下する
全身的な理由:低タンパク、低アルブミンにより血管内から組織へ水分が浸出する
*アルブミンは肝臓で作られる為、肝障害では低タンパク、低アルブミンになりやすい
低栄養では原料のタンパク質が少ないため、低アルブミンになりやすい

浮腫のメカニズム

STARLINGの法則

①血管静水圧の上昇
②血漿膠質浸透圧低下・・・低アルブミンにより血管外へ血漿成分が出てしまう
③血管透過性の亢進・・・炎症、やけどなどの場合、血管から血漿成分が漏れやすくなる

浮腫の改善にはK(カリウム)を摂取するのが有効。目安は10g/日。水分が排出されやすくなる。

Kを多く含む食品にはバナナ、わかめ、切り干し大根、トマトなどがある

*透析患者などKの制限がある場合は摂取量に注意

浮腫の状態の確認方法

・シュテンマーサイン(Stemmer sign)
足趾をつまんだとき皮膚がつまめないと陽性

・圧痕性テスト
15秒間圧迫して痕がのこるかどうか

・皮膚肥厚チェック

全身性浮腫とリンパ性浮腫の違い

・分類   全身性/局所性
・発症   急性/慢性
・発症部位 左右対称/片側性
・シュテンマーサイン 陰性/陽性
・成因   スターリングの均衡崩壊/リンパ管輸送障害
・利尿剤の効果 ある/ない

スキンケアについて

・皮膚の状態を良好に保つ

・浮腫のある皮膚は乾燥しやすく、感染症や炎症の原因になりやすい
皮膚の清潔・保湿を心掛けることで、感染症や炎症を併発しないように予防する。

よく使われるクリーム

【軟膏】医師による処方
・ウレパール(角化症治療薬)
・ケラチナミン軟膏(角化症治療薬)
・ザーネ軟膏(角化症治療薬)
・ヒルドイド(皮膚保湿剤)
【合併症に対して】
・アスタットクリーム(抗真菌剤)
・ゲンタシン軟膏(抗生物質)
【保湿剤】市販
・花王キュレルなど、のびがよいもの
*オイルは塗った時は良いが、あとで水分を奪われるのでオススメしない

日常の注意点

・皮膚を傷つけないために
・体に負担のない衣類・靴の選択・・・ゆるめの靴下など
・炎症を起こさないようにする
・旅行の移動の際には気圧の変化で浮腫が出やすいので足趾・足関節の曲げ伸ばしをする
・スポーツ・娯楽について
・職場では足趾・足関節の曲げ伸ばしや長時間同じ姿勢でいないなど
・水を使う場合はハンドクリームを使用する

以上、本日の講義の内容でした。
訪問看護・リハビリの対象の方も浮腫の方は多くいます。
本日の内容を日々の訪問に活かしていきたいと思います。