訪問リハビリで働くために知っておきたいこと

訪問リハビリの仕事をしたいと思っていても、病院や老健などでのリハビリと違い、利用者のお宅に伺い一人で訪問するため、不安に思う事が多いと思います。

いつか在宅分野でリハビリの仕事をしたいと思っているけれど、自分がやっていけるのか不安という方の少しでも役に立てばと思い、この記事を作成しました。

 

訪問リハビリとは

在宅生活を送っている方に対して理学療法士・作業療法士・言語聴覚療士がリハビリテーションを行います。

在宅生活を送りながら、生活上困っている事に対してリハビリテーションを行っていくのが特徴です。

 

訪問リハビリの仕事ができる場所

訪問リハビリができる場所は病院・クリニック・老健・訪問看護ステーションなどです。

訪問リハビリは制度上以下の3つに分かれます。

病院からの訪問リハビリ(在宅訪問リハビリテーション指導管理料)

病院のリハビリテーション科からの訪問

病院・クリニック・老健などからの訪問リハビリ事業所(訪問リハビリテーション費)

医師が所属している場所からの訪問になるので医師との連携がとりやすいなどのメリットがあります。

訪問看護ステーションからのリハビリ

訪問看護ステーションに所属する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問(訪問看護Ⅰ5)

訪問看護ステーションにおける訪問で、内容がリハビリテーション中心のものの場合に看護師の代わりに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問を行うというものという位置づけになりますので、制度上は訪問看護というくくりになります。

 

このうち、訪問専属でリハビリを行うのが訪問リハビリ事業所と訪問看護ステーションになります。

 

訪問リハビリ事業所と訪問看護ステーションの違い

利用者の自宅で行うリハビリテーションの内容には大きな変わりはありません。

訪問リハビリ事業所は療法士単独での訪問も可能ですが、訪問看護ステーションでは定期的に看護師の訪問が必要になります。

訪問リハビリ事業所・訪問看護ステーションの運営母体

訪問リハビリ事業所は病院・クリニック・老健などの法人が母体となります。

訪問看護ステーションは病院など法人が母体の場合と株式会社など営利法人が母体の場合があります。

それぞれ事業所によって組織運営や給料なども様々です。どちらが自分に合うかは、施設見学をして直接話を聞くのがよいと思います。

ちなみに法人の場合は、病院のような組織形態で、給料水準も同様な印象です。営利法人の場合は一般企業のような会社組織で、給料はインセンティブといわれる歩合の部分があることが多い印象です。

訪問のスケジュール

通常週1~2回程度の訪問を行う事が多いです。1回の訪問時間は40分あるいは60分が多いです。

1日の訪問件数は5~7件程度です。

訪問に必要な技術とは

訪問に必要な治療技術は通常の療法士としての基本技術と変わりありません。利用者の評価ができて、それに対する治療プログラムを立案できれば問題はありませんので、特別に必要な技術はありません。病院や老健など今働いている場所でしっかりとした治療ができていれば、2~3年目で訪問の仕事に転職することも可能です。

訪問先では一人で治療を行う事になるので、新卒の場合は座学研修や同行研修など充実した教育環境が整った職場がよいです。一人職場は避けたほうがよいでしょう。

病院や老健などとの違い

訪問リハビリでは医師や看護師などをすぐに呼べる環境ではないため、全身状態のアセスメントも大切になってきます。バイタルサインや呼吸・循環状態などを注意深く見て、必要があれば主治医へ連絡し、指示を仰ぐなどしなければならないため、異常に気づく為のリスク管理も必要です。こう聞くと不安になる人もいるかもしれませんが、過剰な心配はしなくても大丈夫です。訪問リハビリの対象の方は在宅生活が可能な方が対象なので、全身状態が安定している方が多いです。病院や老健でもリスク管理は必要なのでやることは変わりないと思います。

それでも不安な方や、今リスク管理ができていないと感じる人はフィジカルアセスメントを研修会や書籍で勉強しておくと役に立つと思います。

訪問に特に必要とされるもの

訪問で必要な技術として、治療以外で大切なのが、コミュニケーションです。

治療に必要なコミュニケーション

外来リハビリと同様週1~2回のことが多いので、直接関われるのは一週間168時間のうちの1~2時間です。リハビリテーションの効果を高めるには残りの166時間をどのように過ごすかが大切です。この166時間で自主トレを行ってもらったり、生活習慣を改善してもらったりということがいかに大切かを理解してもらうために、コミュニケーション能力が必要です。

また、利用者の通院状況や家族の介助力など周辺情報を収集するために、話を引き出すことも必要になってきます。

連携に必要なコミュ二ケーション

在宅生活を送っている方は訪問リハビリ以外にも、様々なサービスを利用している方が多いです。主治医や薬局、サービス計画を立てるケアマネージャー、家事をサポートする訪問介護や、入浴やリハビリを行うデイサービスなど他の事業所との関わりが多くなります。

病院では身内で構成されるチームが、地域では他事業所とチームを組むことになります。他のサービスが集まって顔を合わせるのは、居宅サービス計画という利用者のサービス計画が変更になったときのサービス担当者会議の時のみで、ほとんどが電話やFAXでのやり取りになります。そのため、利用者の状況を簡潔に正確に伝えるということが必要になってきます。

訪問以外の業務での違い

訪問リハビリの仕事は病院のリハビリなどと比較して、書類業務や先ほど出てきた他事業所との連絡などにかかる時間が少し多くなります。訪問している時間は1日6時間程度で残りの時間は車の移動や書類業務や連絡に充てられます。

治療以外にすることが多いため、最初は戸惑う人もいるかもしれませんが、1ヶ月単位での仕事の繰り返しになるので、慣れてしまえば時間外勤務は少なくて済むでしょう。

 

この記事が、訪問リハビリで働きはじめたいと思っている人に、少しでも役に立てばと思います。

随時更新して内容を充実させていこうと思います。