24時間オンコール訪問看護での出動頻度~呼ばれる回数は思ったよりも少ない?~

訪問看護と言えば24時間オンコール体制というイメージがあると思いますが、実際に出動の頻度はどのくらいなのか気になりませんか?

これから訪問看護で働こうか考えている方は、抑えておきたいポイントだと思います。

ここでは公益社団法人日本看護協会や一般社団法人全国訪問看護事業協会の統計なども含めて出動の頻度について掲載していきます。

オンコールとは

そもそもオンコールとは何?という方に簡単に説明しておきます。

オンコールとは利用者の状態に何か変化があった時、利用者からの電話を受けて、電話で相談に乗ったり、必要時には出動したりしまします。

訪問看護師の待機場所は看護師の自宅であったり、訪問看護ステーションの事務所であったりしますが、自宅で待機する場合が多いと思います。

自宅での待機の場合は、待機といっても多くはオンコール用の電話を持っているだけで、じっと待っているのではなく、普通に生活をしたり睡眠をとったりしています。

出動頻度が多いステーションでは事務所待機にしており、事務所から出動するところもあると思います。

オンコール出動に関する統計

月の出動頻度

公益社団法人 日本看護協会 の調査によると、 オンコール待機したスタッフが出動した回数は月0~2回が74.9%と圧倒的に多いようです。

2014 年5月の1か月間にオンコール待機したうち、実際に出動した回数について尋ねたところ、 「1~2回」が 41.0%で最も割合が高く、次いで「0回」(33.9%)と続き、平均出動回数は 1.6 回となっている。

公益社団法人 日本看護協会 医療政策部 「2014 年 訪問看護実態調査 報告書 」

別の調査では訪問看護ステーション全体での月の出動頻度は1~6人が72.2%となっています。

緊急訪問(早朝・夜間・深夜と土日祝日の日中)を行った人数のうち、「1人~3人」 の事業所が最も多く 49.2%、次いで「4人~6人」が 23.0%であった。「15 人以上」緊急 訪問があったと回答した事業所は 5.9%であった。

一般社団法人 全国訪問看護事業協会 「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に 関する調査研究事業 報告書」

オンコール待機回数

オンコールの待機回数はスタッフ一人当たり、1ヶ月に5~9回が多いそうです。

「オンコール待機をした」と回答した人(1,547 人)に 1 か月間のオンコール待機回数を尋ね たところ、「5~9回」が 46.7%で最も割合が高く、平均オンコール待機回数は 9.4 回となっている。

公益社団法人 日本看護協会 医療政策部 「2014 年 訪問看護実態調査 報告書 」

待機回数が5~9回で出動が1~2回ということは、こちらの調査でもステーション全体での出動回数は月に3~6回程度のことが多い計算になります。

オンコール担当看護師数

1ヶ月当たりの担当看護師数

1ヶ月当たりのオンコール担当看護師数は1~6人が87.9%とほとんどの訪問看護ステーションが6人以下となっています。

一月あたりの電話当番担当看護師数 自宅待機(オンコール)について、一月あたりの電話当番担当看護師数は、「1~3人」 が 47.3%と最も多く、次いで「4~6人」が 40.6%であった。

一般社団法人 全国訪問看護事業協会 「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に 関する調査研究事業 報告書」

1日当たりの担当看護師数

大規模ステーション以外はオンコールの電話当番は1人のことが多いようです。

一日当たりの電話当番担当看護師数 一日当たりの電話当番担当看護師数について、「1人」が最も多く、71.9%であった。 看護職員常勤換算数別にみると、「7.5 人以上」の事業所で一日当たりの担当看護師数「2 人」で担当しているが 33.2%、「3人~5人」が 4.9%と高かった。

一般社団法人 全国訪問看護事業協会 「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に 関する調査研究事業 報告書」

スタッフ数と出動頻度の関係

スタッフ数と出動回数については、当然ながらオンコール担当のスタッフ数が多ければ多いほど、出動頻度は少ないということになります。

上記の統計から予想すると1日の電話担当は1人と仮定して

スタッフ数が3名の場合:スタッフ一人当たり1~2回
スタッフ数が6名の場合:スタッフ一人当たり0.5回~1回

となります。

訪問看護ステーションで働くためにチェックしておきたいこと

24時間オンコール体制の勤務を希望する場合、スタッフ一人当たりの月の出動回数だけでなく、

①ステーション全体で何回くらいあるのか
②オンコール担当のスタッフ数は何人か
③オンコールの担当日数の振り分け方(管理者が殆ど持つというところもあったりします)
④オンコールの利用者契約人数

などを確認すると良いと思います。

弊社でのオンコール運営状況

弊社で運営する訪問看護ステーションは平成31年2月1日より3ヶ月間での出動回数はステーション全体で6回です(今後状況は更新していきます)。平均で月2回の計算になります。

オンコール担当の看護師は現在4名のため、一人当たりの出動回数は0.5件になります。

利用者契約人数は現在35名程度で全利用者の約11%です。

弊社は介護度が軽めの方の割合が少し多いせいもあって、出動頻度も少ない現状です。

このようにどういう利用者が対象かもオンコールの出動頻度には関わってきます。

*令和1年5月20日更新

オンコールの運営状況を久しぶりに更新します。

令和2年10月の実績で、オンコール契約者数75名(全利用者の20%)いらっしゃいます。

オンコール担当は6名に増員しています。1ヶ月の出動回数が18回程度(1日0~1回)です。

一人当たりの出動回数は月3回程度と、平成31年の実績よりも増えています。これは、オンコール契約数が倍増していることと、看取りの方など重度の方の割合が増えたことが要因です。オンコール担当も増えたので無理なく行えています。

*令和2年10月30日更新

オンコールの運営状況を再び更新します。

令和3年6月の実績でオンコール契約者数107名(全利用者の24%程度)いらっしゃいます。

オンコールの電話は1番コールと2番コールの2つに増やしました(2番コールは電話対応のみで、1番が出られなかったときのみ対応)。

オンコール担当者は1番コール担当が6名、2番コール担当も含めると9名です。

オンコール担当日数は3~11回/月です。

出動回数は18回/月程度と令和2年10月と比較して契約者数が増えましたが、出動回数は大きく変化はありません。

1人当たりの出動回数は3回/月程度とこちらも変化がありません。

*令和3年7月20日更新

まとめ

オンコールでの出動頻度はスタッフ一人当たり、月に0~2回が多いという結果になります。

月に0~2回は皆さんにとって多いでしょうか?意外と少ないと思ったでしょうか?

訪問看護の仕事は精神的にも負担がかかることもあると思いますが、最高のサービスを提供するためにはまず看護師自身が心身ともに良い状態を保つ必要があります。

訪問看護の24時間オンコールは利用者にも地域での役割としても非常に求められていますが、私もやってみたいと手を挙げてくれる看護師はまだまだ少ないです。

オンコールの出動頻度について理解を深めてもらい、訪問看護師として無理なく働けるかどうかをみきわける材料としていただけたらと思います。