脳梗塞で肩関節亜脱臼はなぜ起こるのか

脳梗塞後遺症の症状として肩関節亜脱臼の症状を呈する方が一定数います。これは、特に弛緩性麻痺を呈している患者様に共通してみられることが多いです。脳血管障害を発症して病院等で入院中に、片方の腕を三角巾で釣っている患者様を見たこと(経験された方)もあるかも知れません。

弛緩性麻痺になると普段は肩関節の中で働く主にローテーターカフ(回旋筋腱板)等が上腕骨頭を肩関節内に収めようとする働きが弛緩性麻痺によって弱くなり(働かなくなり)、腕の重さ(上腕と前腕)によって、上腕骨が肩関節から離れていきます。症状がひどくなると、肩峰と上腕骨頭の間で隙間が大きくなり、中には人差し指で確認できる位隙間が大きくなる患者様もいます。そのままにしておくと、肩関節の隙間は益々大きくなり、肩関節内を痛めることや、痛みを伴うことも考えられます。

肩関節を守るためには、肩関節内外の筋の緊張を高めることが必要になります。方法としては色々ありますが、ローテーターカフ(回旋筋腱板)や肩関節周囲の筋肉の緊張を高めてあげて、上腕骨頭が上腕と前腕の重みに負けて下に下がらないよう、肩関節内に留まるようにしていくことが必要になります。

麻痺側の上肢を自分自身で動かし、リハビリテーションを行うことは難しい場合があるかと思います。そのような場合では、リハビリテーション専門職と一緒に身体の動かし方や、力の入れ具合などをチェックして貰いながらリハビリテーション進めて行く事をお勧めいたします。