脳梗塞発症後の大腿骨頸部骨折

脳梗塞発症後に不幸にも転倒等の外傷が原因で骨折される方も一定数いらっしゃいます。麻痺側の足が床に引っかかることや、失調症などでバランスを崩すことなどが転倒などの原因に考えられます。

高齢者の転倒等の外傷で骨折される場合に代表的なものは、大腿骨頸部骨折があります。大腿骨頸部骨折は股関節の中にある大腿骨(足の骨)側の頸部が折れてしまう骨折です。大腿骨の内側と外側で外科的治療の方法の違いはありますが、外科的手術を必要とすることがほとんどです。大腿骨頸部の構造上、内側は血管の走行が少ないために骨折の治癒が遅く、人工骨頭に置き換える手術を行うことが一般的です。大腿骨頸部外側の骨折に関しては大腿骨頸部の外側をそのまま残す外科的治療が一般的です。

脳梗塞発症後に健足(非麻痺側)の骨折をしてしまった場合には、これまで健康であった足に頼ることができなくなり、手術直後は患部の痛みや股関節の可動域制限などにより立ち上がりや移動に関して大幅に制限されることが懸念されます。お一人で患側下肢を鍛えていくのは大変であり、時間を要します。リハビリテーションの専門家と一緒に進めていくことをお薦めします。

麻痺している側の足を骨折した場合も手術後のリハビリテーションで麻痺により力が入りにくいことや意図とした運動を正しく行えないなどの脳梗塞後遺症のため、筋力低下した下肢の筋力を再び鍛えにくいことがあります。その結果、リハビリテーションを進めても時間を要するため、短期間で満足できるほどの機能を回復させることが難しくなることが考えられます。特にお一人で麻痺側の下肢を鍛えていく場合も難しため、リハビリテーションの専門家と一緒に行うことをお勧めいたします。