訪問看護での排便管理(高齢者の便秘)

3月2日に自立支援・活動と参加に関する社内勉強会を行いました。テーマは『排便管理』です。

今回の講師は所長(看護師)です。

訪問看護・リハビリの対象者は多くが高齢者のため、ほとんどといっていいほど便秘があります。

看護師でもリハビリ職でも排便管理については気にしなければいけない重要な項目です。

高齢者の排便管理について

高齢者はどうして便秘になるのでしょうか?

高齢者が起こしやすい便秘には、弛緩性便秘と直腸性便秘の2種類があります。

弛緩性便秘は大腸の蠕動運動が弱まることで、便が大腸に長く留まり、水分を失った便が硬くなり、さらに排出しにくくなるという悪循環になる状態です。

直腸性便秘は大腸の出口に硬い便が溜まり、自力では排出できなくなってしまった状態です。腹筋や肛門周囲の筋力が弱まっていきめなくなることも影響してきます。活動が少ない人、寝たきりの人が特になりやすいです。

便秘には原因があり、原因を取り除くことが必要です。

便秘の原因

食事形態の変化
咀嚼機能の低下
水分量の低下
活動量の低下
腸内環境の悪化
普段の姿勢(円背で内臓の位置がずれると腸の動きが悪くなる)
薬の影響
病気の影響
筋力低下
など、様々なことが考えられます。

訪問看護で訪問したときにまず確認を行うのは、便秘の原因を探ることです。

まずは食事と水分の摂取量(食事以外に1.5L)
便の出る時間帯は規則性か非規則性か
飲んでいる薬の種類や飲み方
便の性状

などを確認していきます。

 

水分摂取が少ない方には水分がどれくらい必要か、どうやって摂取したらよいかなどを伝えます。

排便しやすい環境を整えることも必要です。

下剤の種類

下剤が処方されている方には薬の確認を行います。
在宅でよく目にする薬は以下の通りです。

・酸化マグネシウム:便秘の第一選択薬。便を軟化することにより排出する。非刺激性。2~3時間で効果が出てくる。
飲んでも出ない場合にはまずは水分摂取量を確認し、足りなければ水分摂取を促します。

・アミティーザカプセル:小腸で作用するため下痢になりにくい。服用24時間後に半数が排便と、遅効性のため屯用ではなく定期で服用する。

・センノシド:刺激性で大腸の蠕動運動を活発にする。寝る前に飲んで朝排便される。昼に飲んでしまうと夜中に排便が促されてしまうので注意。

・坐薬:レシカルボン坐薬・・・直腸性便秘に有効
テレミンソフト坐薬・・・弛緩性便秘に有効

・グリセリン浣腸:即効性。水分も排出されてしまうため、脱水に注意

直腸性便秘で便の排出が難しい場合には看護師が摘便を行い、直腸に溜まった便を排出します。

訪問看護時の視点

上記のような対策を訪問看護で行っていきます。

排便管理での訪問看護では週2回以上訪問し、薬の管理や摘便を行う事が多いです。

また、活動量が少ない方には理学療法士や作業療法士と協力して、活動性を上げていく支援もしていきます。

嚥下障害の方には言語聴覚士が嚥下訓練や食事形態の調整などを行っていきます。