3月30日に尿失禁に関する社内勉強会を行いました。
本日の勉強会のテーマは『骨盤底筋群と尿失禁』です。
講師はあうる訪問看護リハビリステーションの副主任の女性理学療法士です。
骨盤底筋群の機能解剖
骨盤底筋とは文字通り骨盤の底の部分についている筋肉で、骨盤内の臓器を守ったり、排泄のコントロールをしたり、出産時の産道となったりする働きをしています。
もともと日本人は和式の生活をしていたため、しゃがむことが多かったりで、骨盤底筋を自然と使っていました。しかし、現代の日本は洋式の生活に変わり、骨盤底筋が弱くなったと言われています。
骨盤底筋が弱くなると尿失禁、便失禁、骨盤内臓器脱などのトラブルが起こります。
中でも尿失禁は
20~40歳の女性の65%
40歳以上の女性の43.9%
が経験していると言われるほど、問題をかかえている方は多いです。
なぜ骨盤底筋が弱くなるか?
妊娠・出産
姿勢
肥満
加齢に伴うホルモンバランスの変化
スポーツによる損傷(ジャンプするスポーツ)
などが原因となります
女性は男性と比較して、尿失禁が起こりやすい構造をしています。
高齢者の尿失禁
尿失禁にはいくつかの種類がありますが、そのなかでも高齢者に多い尿失禁は混合性尿失禁です。
混合性尿失禁・・・腹圧性尿失禁+切迫性尿失禁
腹圧性尿失禁・・・咳やくしゃみで漏れる
切迫性尿失禁・・・我慢できずに漏れる
尿失禁の治療
尿失禁の治療はまずは骨盤底筋群トレーニングが選択されます。
薬物治療としては抗コリン薬
TOTと呼ばれる手術が選択されることもあります。
骨盤底筋群トレーニング
訪問看護(リハビリテーション)で可能な治療としては骨盤底筋群トレーニングが当てはまります。
骨盤底筋群トレーニングには『Kegalエクササイズ』というものがありますが、なかなか直接的に骨盤底筋群を収縮させるのは難しいです。
おすすめの方法としては(これも難しいですが)肛門挙筋群を収縮させる方法です。会陰(肛門の5mmほど前)を前上方に向かって引き上げるようにします。
骨盤底筋群はコツをつかむまでは自分で働かせている感覚を得るのが難しいかもしれませんので、専門の療法士と一緒に練習するのがよいです。
まとめ
尿失禁で悩む方は非常に多いと言われています。
その原因のひとつとして骨盤底筋群の機能低下があります。
これを改善するための治療法として骨盤底筋群トレーニングがあり、専門の理学療法士などが一緒に治療していくことができます。
また、尿失禁には骨盤底筋群だけでなく、姿勢や呼吸状態、薬の処方なども関係していますので、訪問看護で全身状態の管理やリハビリによる姿勢改善なども行うことで改善が見られる可能性があります。
尿失禁を改善したいと思う方は医師に相談のうえ、専門の療法士と一緒にトレーニングをして頂くとよいと思います。
あうる訪問看護リハビリステーションでは、本日のような勉強会を週1回行い、サービスの質を高める為の取り組みを行っています。
訪問看護・リハビリのことはお気軽にご相談ください。